結婚式場とのトラブルは、他人事ではなく自分にも降りかかる可能性があります。
特に結婚式の場合は、費用が高額なのでちょっとしたことからもトラブルに結びつきやすいです。
今回は結婚式場のトラブルの中でも特に件数の多い、契約時、解約時のトラブルについてまとめてみました。
INDEX
式場トラブルの中でも多い事例は契約や解約に関すること
結婚式のトラブルの中で、一番件数が多いものは何だと思いますか?
実は独立行政法人国民生活センターの調査によると、結婚式場の契約、解約に関する相談が結婚式トラブルの事例全体の9割近くを占めています。
結婚式場との契約、解約時は高額なお金が動くため、トラブルが起こりやすいのですね。
まずは件数をグラフで見てみましょう。
●結婚式トラブルに関する相談件数と契約解約に関する相談件数の比較
結婚式トラブルに関する相談件数と契約解約に関する相談件数の比較
2010年
全体件数:1,650
契約、解約の件数:1,506
2011年
全体件数:1,594
契約、解約の件数:1,389
2012年
全体件数:1,495
契約、解約の件数:1,310
2013年
全体件数:1,785
契約、解約の件数:1,558
2014年
全体件数:1,674
契約、解約の件数:1,472
2015年
全体件数:777
契約、解約の件数:676
グラフで見てみても、契約や解約に関する相談が全体の大多数を占めています。
契約、解約に関する相談といってもさまざまな事例があります。
キャンセル料が高額すぎる、申込金が変換されないなど。
具体的なトラブルの事例も併せて見ていきましょう。
契約、解約時に多いトラブルの具体的な事例は?
契約、解約時に起こるトラブルの実際の事例を見てみましょう。
多く寄せられているものをまとめてみました。
1、説明がしっかりされなかった
トラブルの中で多いのが、説明がしっかりなされていなかったというものです。
キャンセルにはキャンセル料が必要という話を後から聞かされたとか、申込金が返還されると思っていたのに、実際には返還される条件が必要など後から説明をされて、そんな話聞いていないとなるパターンです。
2、強引な営業勧誘
長時間拘束されたり、契約を急かされたりなどの強引な営業を受けたというトラブルも多いです。
強引な営業に言われるまま契約をしてしまい、後から解約しようとすると高額なキャンセル料がかかるというケースもあります。
実際にこういった事例が国民生活センターに寄せられています。
トラブルの当事者とならないためにも、具体的な事例を知って契約時には慎重になる必要があります。
結婚式トラブルは式場側が有利、私たち消費者に勝ち目はないの?
結婚式場とトラブルになった場合、私たち消費者はやや分が悪いと言えます。
現状では、法律は結婚式トラブルを手厚く保護しているとは言えないようです。
式場とのトラブルの場合クーリングオフは対象外
契約のトラブルというと、クーリングオフという制度を思い浮かべる人が多いかもしれません。
クーリングオフとは消費者を守るための法律で一定期間であれば、契約を一方的に解除できるという制度です。
しかし結婚式場の契約の場合クーリングオフは適用外になります。
結婚式場は訪問販売ではなく、お客さんが式場に出向いて契約をするため、クーリングオフの制度には適用されないのです。
裁判で消費者側の主張が認められるのは難しい
結婚式トラブルが裁判にまで発展してしまうケースもあります。
実際に裁判となったときに、私たち消費者側に勝ち目はあるのでしょうか。
近年の裁判の傾向を見てみると、消費者側に有利とは言えないようです。
近年では、結婚式場が利用する解約金条項が消費者契約法第9条1号に違反するとした訴訟において、京都地裁はこれを違反するとは言えないとしました。
(平成26年8月7日)
これはどういうことかというと、消費者契約法第9条1号がポイントとなります。
消費者契約法第9条1号はキャンセル料の取り決めが通常想定される平均額よりも高額なら、平均額との差額分は払わなくても良いという消費者を守るための法律です。
そこで結婚式場の高額なキャンセル料は、想定される平均額よりも高額であるから消費者契約法第9条1号に反するのではないかという訴訟です。
しかし、この主張は受け入れられませんでした。
このような裁判の流れを見ても結婚式トラブルにおいて消費者の私たちの主張が認められることは難しいだろうといえます。
結婚式場とのトラブルを避ける、身を守るために出来ること
トラブルに発展してしまうと、お金もかかりますし、時間や労力を消費します。
できればトラブルにならないように、注意出来ること、備えられることについてまとめてみました。
1.契約時には慎重に契約内容を確認する
結婚式トラブルの相談が多く寄せられている国民生活センターは、以下の3つのことを契約時のアドバイスとしてあげています。
●契約を急がされてもその場でサインをしたり申込金を支払ったりしない
●お金を払う時は支払う目的、現金の有無をしっかり確認する
●契約を締結する前に契約の成立時期やキャンセル料がいつどのくらいかかるのかを確認する
契約には決して焦らず、契約の内容をしっかりと確認することが大切です。
疑問に思うことがあれば遠慮せずに質問をしましょう。
2.ブライダル保険に加入してリスクに備える
最近ではいろんな種類の保険を目にしますが、中にはブライダル保険というものもあります。
これは結婚式や結婚生活で起こりうるリスクに備えてくれる保険です。
具体的には、結婚式の高額なキャンセル費用や盗難破損事故などの保証をしてくれます。
掛け金もそれほど高額ではありませんし、もしものために備えておいても良いでしょう。
ブライダル保険の費用例
結婚式のキャンセル費用を補償するプラン
保険料:1万円から5万円/回
結婚式場とトラブルになってしまったらどうすればいいの?
トラブルは天災のようなものなので、いくら備えていたとしても巻き込まれてしまうこともあります。
実際にトラブルになってしまったらどうしたら良いのでしょうか。
まずは消費生活センターに相談する
結婚式場とトラブルになってしまった場合はまず速かに消費生活センターに相談しましょう。
早い段階であればスムーズに解決できることもあります。
相談すると具体的に何をしてくれるの?
よく困った場合は消費生活センターにご相談を、というのを見かけますが、相談すると具体的には何をしてくれるのでしょうか。
実際に相談に行くと、専門の担当者が対処の仕方をアドバイスしてくれます。
必要な書類の書き方なども教えてもらえますし、なかには相談者の代わりに動いてくれて、結婚式場と話をつけてくれることもあるようです。
司法書士や弁護士のような仕事をしてくれるイメージですね。
他にどのようなトラブルの事例があったかなども教えてもらえます。
自分と似た事例があると参考になります。
また同じ式場でのトラブルの相談が多く寄せられる場合は、その結婚式場の業務に規制をかけるということもあります。
新たな被害者が出てくるのを抑制するのにつながりますね。
まとめるとこのようになります。
消費生活センターに相談するとできること
消費生活センターに相談するとできること
・専門の担当員のアドバイス
・過去の事例を教えてもらえる
・結婚式場への業務規制(トラブルが多く寄せられている場合)
1人で戦うよりもこうした国の機関や組織の力を頼ったほうがスムーズに解決に導けることもあります。
トラブルになってしまったら相談してみましょう。
まとめ/契約時にトラブルにならないように、慎重に契約しよう
今回は契約、解約時の結婚式トラブルについてまとめてきました。
結婚式は費用も高額なので、キャンセル料といってもかなり高額なものになります。
トラブルに巻き込まれて、泣き寝入りをしないためにも知識はしっかりとつけましょう。
またしつこいようですが、契約時に契約内容をチェックするのは必須です。